「ハゲを病院で治療する時代」が到来し数年。
すっかり「AGA」という単語が有名になりました。
薬剤師として働いていても、AGAの治療を受けている方が増えてきているのを感じます。
AGAは、男性型脱毛症のこと
AGAとはAndrogenetic Alopeciaの略称であり、日本語では「男性型脱毛症」と呼びます。
- 成人~50代の男性に多く見られる脱毛症
- 生え際や頭頂部のどちらかもしくは両方から薄くなるのが特徴
男性型脱毛症はその発症年齢により、2つにわかれます。
- 若年性脱毛症…20代~40歳前後で発症
- 壮年性脱毛症…40代~50代で発症
脱毛の起き方や細かい原因には違いがありますが、基本的にはどちらも同じAGAという病気。
細かい原因や対策は違ってきますので、発症時の年齢はAGA対策を考える上で大切です。
上記とは別に、AGAではない脱毛症は以下があります。
- 老人性脱毛症
60代以降に起きる脱毛症で、AGAに比べて頭髪全体が薄くなるのが特徴 - 円形脱毛症
頭髪の一部が10円玉~500円玉くらいの大きさで脱落(ハゲる)する - 脂漏性湿疹
痒みやフケを伴う脱毛
かゆみやフケが多い場合、早めに皮膚科を受診する事が改善策になります。
AGAになる原因
AGAの原因を見て行きましょう。
遺伝
AGAの発症と、遺伝は必ず関係があります。
これは「家系にハゲがいたら必ずAGAになる」ということではなく、「AGAになった人の家族には必ずAGAの人がいる」ということ。
AGAに関する遺伝子については2005年にドイツで発見されました。
参考:
https://www.cell.com/ajhg/fulltext/S0002-9297(07)60897-0
(段落4つめ。英語です)
その研究論文によると、AGAを決定する遺伝子は男性が母親から引き継ぐ染色体上に存在するとのこと。
つまり母方の祖父がハゲていると、自分もハゲる可能性が高いということです。
予防をしていれば発症を遅らせることもできるので、対策していきましょう。
母方祖父がフサフサだからハゲないということにはなりませんが、「母方の家系はみんな髪が薄い…」場合、シッカリ予防対策しておきたいですね。
男性ホルモンの量・感受性
AGAの主な原因は、男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)です。
- テストステロンと5αリダクターゼという物質が結合して増える
- DHTが増えると脱毛→発毛というヘアサイクルが乱れてしまう
- それによりまだ抜ける時期ではない毛が抜けたり、十分に毛が成長せず弱く細い毛が生えてしまう
遺伝によってAGAの発症リスクが上がるのは、DHTの感受性が高くなるため。
遺伝でAGAになりやすい人は、DHTの量が多いというより男性ホルモンDHTの影響を受けやすい体質です。
DHTの影響を受けやすいということは、DHTが少なくてもヘアサイクルが乱れて細く短い毛が増えてしまうということ。
また、当然DHTが多い人もAGAになりやすいです。
ストレス
円形脱毛症の原因というイメージが強いストレスですが、AGAを含む脱毛症全体に関わっています。
- 自律神経やホルモンバランスが乱れ、血行が悪化
- 毛髪の成長に必要な酸素や栄養が十分に供給されず、新しい毛が育たなくなってしまう
特に原因がなくても、人間の毛は50~100本ほど毎日抜けています。
それなのに新しい毛が育たなければ、どんどん毛髪量が少なくなってしまいますよね。
飲酒と喫煙
適度な飲酒であればそれほど頭皮に影響は与えませんが、飲みすぎると髪に必要な栄養を壊してしまいます。
お酒は適量を楽しみ、お酒を飲んだ分だけ水を飲んで、脱水にならないように気を付けましょう。
一方、喫煙は全く良いことがなく、血流障害を起こしやすくなるため、ハゲのリスクはグッと高まります。
AGAの対策・治療法
繰り返しになりますが、AGA一番の原因は男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)です。
DHTは遺伝により感受性が決まってしまうので、多くの場合、自分の努力だけでは改善しません。
AGAの発症に気が付いたら、早めに治療を開始するのが脱毛を食い止める一番の対策方法です。
- 枕につく髪が増える
- シャンプーのときの抜け毛が増える
- 頭頂部がうっすら透ける
- 全体の毛が細くなる
- 毛のボリュームが減る
- 生え際が下がる
どちらも同じAGAなので、気になったら早めに病院へ!
薬物治療(飲み薬)による治療
AGA治療の軸となるのは、飲み薬による治療です。
単なる老化現象である老年性脱毛症とは違い、AGAは病気。
洗髪やマッサージなどの努力では改善しないんです。
プロペシアという製品が有名ですね。
- 男性ホルモンであるテストステロンと、5α-還元酵素の結びつきを防ぐ薬
- DHT(ジヒドロテストステロン)の量が増えないようにしてくれるため、ヘアサイクルの乱れを抑えることができる
フィナステリドは新たな脱毛を抑えることはできますが、新しく髪を生やすサポートはしてくれない薬です。
脱毛症が悪化する前に、早めの治療開始が大切。
当サイトで紹介している、フィンペシアもプロペシア製剤の一種ですよ。
育毛剤(塗り薬)による治療
脱毛症全般のケアとして一般的な育毛剤。
AGA対策でも、育毛剤は有効です。
大切なのは、ミノキシジルが最低でも5%配合されていること。
- 5%濃度のミノキシジルを朝晩1日2回使用することで、発毛を促進することができる
- すぐには効果が出ないので、コツコツ続ける必要がある
ミノキシジルはAGA対策に有効ですが、それだけでは新たな脱毛を防げません。
フィナステリド+ミノキシジルのコンボで、より効果を実感できます。
フォリックスFR07はミノキシジルを7%配合した商品ですので、チェックしてみてください。
植毛・かつらによる対策
AGAの飲み薬であるフィナステリドは、継続することで約8割の人に効果が出ます。
ミノキシジルの塗り薬を併用すればもっと効果が出やすくなりますし、思ったほどの効果が出なくても、多くの場合脱毛の速度を遅らせることができます。
- 体質により薬が効きにくい人
- AGA発症から時間が経ちすぎていて、十分な効果が得られない場合
上記のようにどうしても薬で改善が見られない場合には、植毛やかつらで外見を整えるという方法もありますね。
AGAは予防できるのか?
生活習慣を見直して、髪と体の健康を維持しましょう!
シャンプーで予防する
しっかり洗うことが大切なのは当然ですが、洗いすぎもダメ。
- ラウレス硫酸ナトリウムなど界面活性剤が入っているものは、洗浄力が強すぎて頭皮の乾燥・毛穴のダメージを招くのでNG
- 1日2回以上洗うのは、頭皮にダメージを与えてしまうのでNG
- 朝シャンは頭皮に汚れを残したまま眠ることになり、細胞の成長が活発になる夜間の育毛を妨げるのでNG
皮膚に優しい・自分に合っているシャンプーを選び、ヘアブラシでマッサージをしながら汚れだけを落としましょう!
マッサージで予防する
育毛外用剤のミノキシジルの効果は、血流を高めて発毛・育毛を促すこと。
マッサージによる血流促進は、髪の毛に良い影響があります。
マッサージのやり方はこちらの動画が参考になります。
食事で予防する
バランス良く食べ、コンビニなど添加物が多い食事を避けるのは基本。
以下は積極的に食べたい食材です。
- 肉や魚・大豆製品・卵
髪の元となるたんぱく質を摂取できる - ワカメや昆布など海藻類全般
髪に大切なヨードが多く入っている - 緑黄色野菜
ビタミンが豊富 - ナッツ類
糖質も低く健康にも良いので、普段食べているオヤツやおつまみの代わりに
運動で予防する
運動不足は血流を悪化させるので、髪の育成に悪影響です。
生活の中に少しでも取り入れましょう!
筋肉が多くなると血流量が高まるので、筋トレも可能な範囲でくださいね。
まとめ
- 思春期以降の成人~50代の男性に起こることが多い脱毛症
- ジヒドロテストステロン(DHT)がヘアサイクルを乱すことによって起きる病気
- DHTへの感度は遺伝によって決まってしまうため、完全に防ぐのは難しい
- シャンプーやマッサージ・生活習慣により発症を遅らせることができる
AGAは遺伝の影響も大きいですが、遺伝だからハゲるのは避けられない…ということではありません。
発症しても初期なら薬物治療で改善することがほとんどです。